大島真寿美著 「ピエタ」 読みました♪
18世紀、爛熟の時を迎えた水の都ヴェネツィア。
『四季』の作曲家ヴィヴァルディは、孤児を養育するピエタ慈善院で
〈合奏・合唱の娘たち〉を指導していた。
ある日、教え子のエミーリアのもとに、恩師の訃報が届く。
一枚の楽譜の謎に導かれ、物語の扉が開かれる――
出版元、ポプラ社のHPより
かの有名な イタリアの作曲家・ヴィヴァルディの私的な一面が
彼の周囲の人たちとの交流で浮かび上がっていくと言う構図。
ヴィヴァルディの訃報が届く所から 物語は始まります。
そして 一枚の楽譜を探すうちに
明らかになる ヴィヴァルディの人間関係…
史実に基づいて書かれていていますが、
渡辺淳一の「天上紅蓮」の年表や参考文献写しました、ってのと違い
登場人物の キャラが立っていて それぞれが生き生きと物語の中で動いています^^
私、つくづく思うのですが
登場人物に 命を吹き込むのは 「セリフ」だと。
セリフこそ その人物の内面世界を投影しているものであり、
キャラクターを如実に表わすものだからです!
話している言葉にどれだけ信憑性を持たすことができるのか、
それで 物語が確固たる真実味を帯びて
読者をひきつけるのだと思います!
主人公のわたし=エミーリアがストーリーテラー。
その語り口調は 丁寧でおくゆかしく、静謐です。
淡々と語られる物語、それがなんとも 読んでいて心地いいのです!
エミーリアは孤児で 慈善院の「ピエタ」に捨てたれ、育った。、
今はピエタ音楽院の事務をしている。
ピエタに共に暮らす、同い年の アンナ・マリーア(実在の人物)は
ヴィヴァルディに師事し、ヴァイオリンの名手だった。
数十年がたち、少女たちは人生の半ばを過ぎていた
ピエタ慈善院の協力者の貴族の娘・ヴェロニカは
昔、ヴィヴァルディ先生に特別に書いてもらった楽譜を探し出して欲しいと
依頼してきた。
エミーリアが楽譜探しを始めた・・・
その過程で 様々な人との交流を通して
ヴィヴァルディの知られざる私的な一面が浮き上がってくる・・・
ページを開いた途端、
一瞬にして、18世紀のヴェネチアへタイムスリップ~!!!
その異空間に溶け込んでいく自分を感じながら楽しく読みました。
すごい 感動的な仕掛けや、謎解きの面白さ、ハラハラドキドキはないけれど、
「読者に読ませる力」はあると思います。
やはり 舞台が18世紀、爛熟の時を迎えた水の都ヴェネツィア、
だからなのかも知れません。
最後は、ゆったりとした 幸福感がじわ~っとあふれてきます。
余韻に浸れる佳作です!