happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

佐野眞一著 「あんぽん 孫正義伝」 読了♪

佐野眞一著 「あんぽん 孫正義」読みました♪

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図書館から、お知らせが来たので受け取りに行ったら、この本でした。

今年2月12日付け朝日新聞読書欄 「売れてる本」で紹介されていたこの本。


ソフトバンク孫正義社長の半生を
極貧の生い立ちにまでさかのぼり、
血統までをも取材した
強烈に面白いノンフィクションだ。 (朝日新聞より)

この一文に誘われ、図書館HPへ…そして 予約確定をポチっclick (2)


で、すっかり忘れた半年後に回ってきました。

装丁が孫正義氏のどUPモノクロ写真、全然わくわくしないんですけどっ!
しかも、分厚い、読む気しない orz

と思いつつ、読み始めたら…いきなり、引き込まれたーーーっ!!



孫正義氏は、ソフトバンクの社長で、頭がよくてお金持ちという
ベタな印象しか持ち合わせていなかったけれど、

読んでびっくり!!

こんな波乱万丈の人生を歩んできた人だったんですね。

孫さんは、中国人かと思ってたのですが
在日韓国人で、福岡で生まれたそうです。
(ルーツは、中国とか。)

在日故に、いじめを受け、
貧しさ故に、人間の生活とも思えないような暮らしをされていました。

父の事業が好転し、母の努力の甲斐あって
暮らし向きもよくなり、持ち前の努力と頭脳で
どんどん人生を切り拓いていく様子には目を見張ります。

孫少年は、アメリカに留学することで、
アイデンティティの悩みから解き放たれ、心の自由を得、
水を得た魚のように、大学生活を満喫したようです。

帰国後は、学生時代に発明した「翻訳機」の売り込みなど、
エネルギッシュな行動と、
人柄に惚れ、孫さんの才能を高く買った人たちのサポートもあって
ソフトバンクを起こしますが、その着実な基礎作りなどが語られ、
感動で胸が熱くなります。

孫さんは父親から
「おまえは天下国家といった次元でものを考えて欲しい。」と言われ育ちました。

そして孫正義氏は
「鉄道や道路、電力会社など天下国家の礎を作るのが、事業家です。」
と、インタビューに答えています。
これが、彼の事業家としての心意気なんですね。

そして、
これから数字の単位を使うときは、億ではなく兆を使おう、と言ったとか。
いつも、はるか先を見ながら走っているのです。

お父さん同様、遠大な視野を持っておられるようです。

孫さんは言います、
「お客さんを開拓するのは、理屈じゃない。
相手に少しでも喜んでもらいたい、という純粋な気持ちがなければ、
お客さんは開拓できません
。」

この言葉、そのまま宝塚歌劇団首脳に、のしをつけて送りたいです。

おっと、話が横道に…失礼。

ダイエーの中内社長と孫正義の違い、という章が興味深いです。

孫氏は、即断即決、即行動。ダメとなったら引き際も鮮やか。
これが成功の秘訣のようです。

ダイエー社長だった中内さんは、
未決の書類を積み上げ、
周囲はいつもピリピリした雰囲気だったとか。
これでは、間違った方向に走り出しても誰も止めることができず、
未決箱の中には、時期を逸してしまった書類も埋もれていたかも…。
対照的な二人ですね。


地の底から這い上がる原動力は、
彼の生い立ちからくるハングリー精神。
それと両親からのDNAが上手く絡んで結晶を結んだ印象です。


孫さんは、ソフトバンク黎明期に、
若手経営者勉強会に招いた京セラの稲盛和夫氏の言葉「動機、善なりや」に
感銘を受けた様子。

事業の動機が、自分の利益などの不純なものであっては長続きしないし、
大成することはできないという意味だそうです。

孫さんが、東北大震災の義捐金に100億円寄付されたのも
事業家としての、高い志があったからこそなんですね。

孫正義氏が立派なのは、ただ稼いで自分のためにだけ使うのではなく
社会に利益を還元しているところ。
孫さんの生き方に敬意を表します。

未だに、氏に対する差別があるようですが、
狭い日本で 日本人vs韓国人みたいな
目くそ鼻くそを笑う的な 小さな発想こそ恥じるべきですね。



帰化して日本人になった孫正義氏…
日本人になったことで、
朝鮮人!と石を投げられ、苛められた幼少期に受けた心の傷を
癒すことができたのでしょうか?
心にささった在日という楔は氷解したのでしょうか?


グローバルな視野を持った孫氏だからこそ、
何物にもとらわれず頑張ってほしいと思います。



この本は、
週刊ポストに連載されたものを大幅加筆して刊行されたようですが
ちょうど、連載直後に 東北大震災があり
孫正義氏が、脱原発を掲げ行動を起こされたこともあり、
脱原発のルーツを追って」という章もあります。
が、それによって
焦点がぼやけ 印象が散漫になった気がします。

貧しさから這い上がった男の感動の成功譚、で終わって欲しかったナ。

著者・佐野眞一氏は、孫正義氏のルーツを追って
韓国各地に取材、
福岡に住む、両親、親戚にも取材と
精力的な取材により、血の通った、肉付きのいい内容になっています。

滅多に読まない「ノンフィクション」ですが、
読み応えありました!! 面白かった!!

ビジネス書としても、読みどころありです。

にしても…
タイトルの「あんぽん」とは、孫正義氏が嫌う、
中学時代まで名乗っていた日本名・安本から
孫氏につけられたあだ名だったのです。

なんでまた、これがタイトル?