happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

百田尚樹著 「プリズム」 読了~♪

百田尚樹著 「プリズム」読みました♪


    prizm.jpg(画像はAmazon.co.jpよりお借りしました)


2012年本屋大賞 第10位。

百田尚樹さんと言えば、私が近年読んだ本ベスト3に入る、
永遠の0(ゼロ)」の作者ですし 本屋大賞10位にも入っているとなれば、期待大!


ネタバレあります ご注意ください 


主人公の私・梅田聡子は、不妊治療中の主婦32歳。
家庭教師派遣会社に登録をしていた。

家庭教師として派遣された家は成城の豪邸。
小学生の息子と両親の他に
不思議な男性が住んでいて
時によって、聡子に接する態度が全く違うのだった。
依頼主の家族は、その男性について、多くを語りたがらない。

…なにか秘密の匂い…。

おぉ~ 冒頭から、興味をそそられる!


男性は豪邸の主、洋一郎の弟の広志。

実は、広志は、多重人格者だったのです。

多重人格は東野圭吾著「プラチナデータ」でも
キーワードになっていましたね♪


広志の中に、宮本純也や村田卓也という人格ほか
全部で5人の人格が存在しています。


本文中にも出てきますが、
十数年前に読んだ「24人のビリー・ミリガン」を思い出しました。


激しい虐待を受けた子供は、自分の心を守るため、
自分とは違う人格を作り上げ、
虐待の苦しみから逃れるといわれています。

広志もまた、父親や、同居する兄の洋一郎から虐待を受けていて
状況に応じて5人の人格が入れ替わり現れるのです。
そして、人格が入れ替わっている間、広志には記憶がない…。

広志という存在に興味を抱くうちに その中の別人格の一人
村田卓也に恋をしてしまった聡子。

村田は、広志が生み出した別人格なので実在はしていない。
人格だけの卓也を愛してしまった聡子の苦悩と
止められない愛が 後半アップテンポで描かれます。



村田卓也に会いたくてもいつ会えるかわからない焦燥感。

卓也への愛が広志の病気(解離性同一性障害)の治療の妨げになるという
ジレンマに悩みます。


村田との別れがいつか必ず訪れると知りながら
逢瀬を重ねる聡子の想いが 読んでいて切ないです。

村田卓也もまた、自分の存在は、いつか消滅することを知りながら
聡子を愛してしまった。

クリニックの進藤先生の尽力と
指導的人格だった 村田卓也のおかげで
広志の人格統合が完結した。

かつてプリズムで分けられていた様々ないろの光は、
今、一つの光となった
(本文より)のです。

進藤先生曰く、性格は混ざってしまう。
一方で それぞれの人格は深層心理の中に埋没しているかも知れない。

それは、聡子にとって 卓也との永遠の別れを意味していた…。




それから半年後…聡子は人格統合に成功した広志に会った。


話をしているのは まぎれもなく広志だけれど
時々、卓也の話し方に似ていて ドキッとする聡子。

その時
左手小指が小さく小刻みなリズムを取っているのが見えた。 (本文より)


それは、愛する卓也の癖だった…。


聡子は、卓也が、こういう形で別れを告げたのだ、と理解し、
頬を伝う涙をぬぐった。


私なら、卓也が、今も広志の中で生きているよ、と
合図を送ったのだ、と 嬉しくなると思うのだけれど??


この終わり方って、
伊坂幸太郎著 「ゴールデンスランバー」の最後に似ている気がします。
独特の癖が、「その人」を表している、っていう。



「ふだん私達が見ている光は色なんて見えないんだけど、
プリズムを通すと、屈折率の違いから
虹のように様々な色に分かれます
人間の性格も光のようなものかもしれない」      本文より

確かに。
なるほど~  うまいこと言う 

この本のタイトルは、この発想からつけられたのですね


テーマが異色なので、
ページを繰る手が止まらない~!
あっと言う間に読み終えました。