昨年8月に図書館に予約していた有川浩著「空飛ぶ広報室」
読みました♪
今年の1月6日の新聞広告。
分厚いのに一気読み!
読み出したら、もう止まらない!!
ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2012年小説部門第1位
夢断たれても、仕事も人生も続く!
15万部突破! お仕事小説の金字塔!!
これだけの文字が踊ったら、もう読むしか無い!
直木賞候補作だったようです。
あとがきまで入れて462ページ。ボリュームありますが
広告に偽りなし、の面白さ、ホント、一気に読ませる力があります!
それは何故か…?
登場人物のキャラが立っている!!
個性的な面々で、それぞれ、いいドラマを持って生きています。
だから、
実在の人物かのように誰もが物語の中で生き生きと動いているのです。
プロローグで、主人公・空井が念願のブルーインパルスに内示が出た直後
不慮の交通事故で、ブルーインパルスの乗り組み資格を失ってしまう…
これで、いきなり泣く。 つかみはOK!
これって直木賞受賞作「下町ロケット」と同じ手法ですね~
どん底の状態から這い上がっていく主人公。
その姿は、読むものに勇気と感動を与えます。
主人公・空井は、子供の頃からの夢、
ブルーインパルスの一員になる内示をようやく手にし
仲間内で呼び合うタックネームまで決めていた。
そんな矢先、信号待ちをしている時に車に突っ込まれ
膝の靭帯を損傷。入院を余儀なくされ、リハビリに励んだ。
スポーツをできるまでに快復したものの自衛隊の厳しい条件で
ブルーインパルスの戦闘機パイロットを罷免されてしまった。
そして、配属された先は…
防衛省航空自衛隊 航空幕僚監部広報室!
パイロットから一転、総務経由で広報室へ。
それでも腐ることなく、個性的な先輩や放送局の女性ディレクターに
振り回されながらも奮闘していく。
世間から自衛隊に理解がないのは自分たちのせいだ、と
広報室の意義を説く室長・鷺坂(詐欺師とも呼ばれている)。
ミーハーで軽いオヤジであるけれど
彼の言葉は示唆に富み、少し離れたところから見守りながら
イザというときには、大胆に交渉し、行動する、理想の上司。
なんだか目に浮かぶようです。
堅実に着実に仕事を手がける比嘉。
自己愛の強い自惚れ屋の片山、おっさん系美人報道課員柚木。
そこへからんでくるのが、挫折体験をもつ
帝都テレビ女性ディレクター稲葉(鷺坂からうさピョンと呼ばれている)
様々な人間模様と、リアルな会話が面白く、
もっともっと、とどんどん読み進んでしまいます。
空井の成長物語に、胸はじ~ん、鼻の奥がツーン。
P免(パイロット)を罷免された悔しさ。
帝都テレビの女性ディレクターに
戦闘機を「人殺しの機械」呼ばわりされた悔しさ。
広報室勤務という、夢とはかけ離れた職場。
突然降って湧いた災難で、運命を狂わされたにも関わらず
腐ることなく、広報の仕事に意義を見出していく空井に拍手!
普段、お仕事=自衛隊というのを意識することが無いけれど
この本によって、自衛隊の仕事を垣間見る事が出来てよかったです。
著者に、航空自衛隊の話を書いてみませんか?と
空幕(航空幕僚監部)広報室長(以前の)からオファーが来たことから
この作品が上梓されました。 アドタイ 2013.1.8
大成功ですね!
巻末のミニストーリー「あの日の松島」
帝都テレビの女性ディレクターが
東北大震災後の松島の基地を取材に訪れるという後日譚になっています。
当初、この「空飛ぶ広報室」は2011年夏に刊行される予定だったのだけれど、
2011年3月の東北大震災が起きた頃により 1年延長されました
それは、著者が、取材でお世話になった、ブルーインパルスの
母基地である松島の事を書かなければならないと思ったからなんですね。
その思いが、巻末の「あの日の松島」に結実しています。
自衛官は、あの震災の時も、自分の事よりも、家族のことよりも
被災者の救援に奔走していたのです。
彼らの有事に対する覚悟、国民を守りぬく、そんな気概で
私たちの日常が支えられている、と著者。
災害の現場で目にする自衛官の働きには、
いつも敬意を表さずにはいられません。
何気ない日々も、空、陸、海の自衛官の皆さんのお陰で
安全に暮らせているのでしょう…。
読後感さわやか!
随所にプッと吹き出す笑いがいっぱいの会話があり
楽しい「空飛ぶ広報室」でした
お勧めです!