⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

荊の城 上巻 読了♪

荊の城 上巻 読み終えました。

CWA(英国推理作家協会)最優秀歴史ミステリ長編賞(ヒストリカルダガー)受賞作品
「このミステリがすごい!2005年 海外編 第1位」

         荊の城上

3月10日付朝日新聞夕刊に 「後味カラ~イ 韓流最新作」の見出しで
3本の映画が紹介されていて その中の一本「お嬢さん」の原作です。
本国イギリスではBBCでドラマ化されています。

英国の女流ミステリー作家 サラ・ウォーターズレズビアンだそうです。
今、知りました。
そういう描写がでてきます、なるほど。

19世紀なかばのロンドン 17歳になる少女スウは下町で
掏摸をなりわいとして暮らしていた。そんな彼女に顔見知りの詐欺師が
ある計画を持ちかける。
とある令嬢をたぶらかして 結婚しその財産をそっくり奪い取ろうというのだ。
スウの役割は令嬢の新しい侍女。スウは迷いながらも話にのることに…

                                裏表紙より


自分の記録用ですのでネタバレあります、ご注意ください。

第一部は、「あたし」=スウの視点から描かれています。

スウの母は人殺しのかどで絞首刑になり
孤児になったスウは 犯罪が横行する下町で気のいいおばさんに育てられました。
そこへ 一攫千金を狙う 元貴族の詐欺師 通称「紳士」が現れ
令嬢をたぶらかして 結婚し 財産を手にしたら
その令嬢を とっとと精神病院にぶちこむのだ、そのためには
侍女役の スウの助けが必要だ、分前は渡す、と。

ロンドン郊外のマーロウという村の古ぼけたお城に住む
無垢な少女・モードのお世話をするうちに 
騙す相手では無く 一人の女性として 親しみ以上の感情を覚えていきます。

「紳士」の入念な計画と手引で 紳士とモード、侍女役のスウは
夜中にお城を抜け出し 教会で結婚式をあげます。
紳士は モードの相続した莫大な財産の為に
モードは お城の中で権力を持つ変人の伯父の束縛から逃れるために。

結婚式の後 馬車が立ち寄った精神病院で モードが降ろされるはずが…
降ろされたのは 侍女役のスウ。
馬車は スウを置いて去ってしまいます。
真実を訴えても 看護婦に聞き入れられず
「紳士」に騙されたことを悟ったのでした。

大どんでん返し! 

騙していたつもりが 騙されていたとはっ!! 

第二部は 第一部で語られたことが
「わたし」=令嬢 モードの視点でもう一度語られます。

血筋はよかったものの モードの母は精神を病んでいて
精神病院でモードを出産して亡くなりました。
モードは、その精神病院で看護婦たちに育てられました。
10歳になったある日 母方の伯父 クリストファー・リリーという男が現れ、引き取られました。

陰気でうらぶれた 田舎のブライア城で 使用人と静かに暮す日々。
伯父の仕事は表向きは 学者で通っていましたが
破廉恥な本の蒐集家で モードを秘書にするために引き取ったのです。

自分勝手なルールを作って、守れなければ 体罰で従わせる地獄のような日々。

お金が目的の結婚だと知っても 監獄のような日々から逃れたくて
「紳士」に付いていくことに決めたモードでしたが…

それは 女同士の秘め事を経験したモードには スウを裏切る行為でもあったのです。

陰鬱で時間が止まったようなお城で
意地悪で怖いお城の家政婦や
変な趣味で 独裁者のようにふるまう伯父と暮らすモード。

ハリーポッターホグワーツ城をもっとみすぼらしくした感じ?
荒涼とした 寒々しい風景が脳裏に広がります。

見えない鎖に繋がれていたモード嬢が
「紳士」に連れられて自由を得た後 どうなっていくのか?

精神病院に入れられてしまったスウの運命は??

結末が気になってしょうがない!!

早く下巻を読みた~~い!