⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

標野凪著『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』|真似したくなる「丁寧な暮らし」

Amazonのサイトで、「よく一緒に購入されている商品」、「この商品に関連する商品」として紹介されていたので読んでみました。

 

真似したくなるスロウライフな喫茶ドードー

お一人様専用カフェ、喫茶ドードーは、ティータイムじゃなくて、夜に開けてるお店ですが、お客さんが来たら、時間にこだわらずに開けてくれたりもする、自由な…カフェではなくて喫茶店。

どこか懐かしさを感じさせてくれます。

 

店主のそろりさんがキッチンで繰り広げるのは、ジャムの瓶を消毒したり、厚手のお鍋で煮込み料理を作ったり…と日常のよくある場面なのに、店主のそろりさんの行動が標野凪さんの描写でとても素敵な儀式のようで、読むのが楽しいです。

Amazon★4.1  ★5 51%

 

著者の標野凪さんは、小説を書いておられますが、

グラフィックデザイナーでもあり、二級建築士の資格もお持ちで、日本茶インストラクターもされていて、綾鷹のCMで茶器指導もされたという経歴の持ち主です。

 

東京・飯田橋の「お茶とお酒 茜夜」の店主をされているのですが、なんとなく、「喫茶ドードー」に通じるものがあるな、と思いました。

 

丁寧に生きる、スロウライフ。

現代人が、日々の慌ただしさの中で忘れがちな、何気ない暮らしを丁寧に生きる‥なんだか素敵で見習いたい^^

シンプルでミニマルな暮らしは、豊かな時間を作ってくれる気がします。

5編の連作短編集です

⚠️ネタバレあります、ご注意ください

 

 

 

 

背が高くて、強いくせ毛の男性、そろりさんが店主を務める喫茶ドードーでのお話です。

 

第一話 自己肯定力を上げるやかんコーヒー

翻訳の仕事をしている小橋可絵は、インスタで見つけたsayoさんのページに刺激を受けて「ていねいな暮らし」を心がけています。

が、モーニングルーティンに振り回され、疲れていました。

これでは本末転倒です。

そんなときに出会った喫茶ドードー。

店の前に出した看板のメニュー 「自己肯定力をあげる」コーヒー

そろりさんが小さくなった鉛筆をくれます、その心は…^^

 

第二話 心が雨の日のサンドイッチ

夫婦別姓やモラハラや…もやもやする保育士の主人公。

 

第三話 自分をいたわる焼きマシュマロ

緒川小夜子=SNSで人気のショップ店長sayo

少人数でシフトを回していたがスタッフはコロナで子供の罹患などを理由にお休みが増え、代わりに小夜子の勤務が増えていく…五十代になっても一人で走り続ける小夜子はふと不安になります。

喫茶ドードーのメニュー「自分をいたわる甘いもの」。

たまには自分を甘やかさないと、折れてしまいますよね^^

 

第四話 森のおとしものと森のおくりもの

自分本位な客にストレスを募らせる美容師の彩花。

路地の奥にあるドードーのメニューは「森のおくりもの」、キノコのタルトでした。

キノコには、栄養も毒もある…

 

第五話 幸せになる焼きリンゴ

テキスタイルデザイナー 磯貝睦子、70歳を間近に控えてもなお最前線で働いています。

取引先の若手の社員に自尊心を傷つけられ…

 

 

童話の語りのような「そろりさんパート」と、普通の文章の「悩める女性パート」が、絵本の中を覗いているような不思議な感覚になる本でした。

 

コロナを入れるとテーマがぼやける

全編通して「コロナ」が顔を覗かせているのは、本を売るのにキャッチーかも知れませんが、

 

未知のウイルスに出会って世の中が一変した当初の驚きや混乱から、今はコロナと生きていく、に落ち着きつつあります。

 

2022年末にこの作品を読むと、ちょっとした違和感を感じてしまいます。

コロナを出さず、ほのぼのとしたそろりさんの世界観と悩める女性にオススメのメニューを楽しむお話に絞ったほうが良かったのでは?と思いました。

 

標野凪さん、しめのなぎさんですが、URL しべのになってます、ミスタイプだけど、今から訂正したら 404 not found などと表示されることもあるからこのままで失礼します…