⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

中山可穂著「娘役」 興味深く読みました♪

先日 

伊吹有喜著「カンパニー」の記事にコメントをくださった

ちぃたん様が読まれたという中山可穂著「娘役」、

私も図書館で借りて読んでみました。

 

        娘役

 

以前 同じ著者の「男役」を読みました。

 

    → ヅカネタ満載 「男役」読了!! 2015.12.18  

 

ヅカあるあるが満載でとても興味深かったのと

普段観ている宝塚の舞台や 自分の経験が重なって

涙、涙の作品でした。

 

「男役」には 舞台事故で亡くなった 扇乙矢の亡霊が

夜遅くにお稽古していると そっと出てきて励ましてくれる…という設定でした。

 

さて…「娘役」は?というと

娘役・野火ほたると 彼女を見守るヤクザの組長…?? 

え~~~っ

面白いのかしら?? と 本の帯を見て思いました。

 

が、小説の冒頭の一文に ガッシと心を鷲掴みにされて…

もう一気読み!! 一日(数時間)で読んでしまいました。

 

男役さんの広げた大きな腕の中は、夢のゆりかご。

私を邪悪なものから守ってくれる暖かなシェルター。

私は巣に戻る小鳥のように、甘くかぐわしいその腕の中に向かって

まっすぐに駆けてゆく。

あなたの腕が私を軽々と抱き上げ、回転が始まる。

私のドレスの裾とあなたの燕尾のテールが平行線を描きながらくるくると回る。

                          本文 冒頭より引用

 

宝塚とは無縁のヤクザが どのようにストーリーに絡むのだろうか?と

思っていたのですが 

そこは さすがに ちょっと「いい人」な昔気質の任侠道に生きる組長。

 

衝撃のラストシーンに驚かされました!!

 

今回も ヅカネタ満載でしたが

 

組長の片桐が 250本の真紅の薔薇の花束を

野火ほたるに差し入れしようと 楽屋口に持って行くシーンには

 

お花の差し入れお断りしております…と ひとりごちてしまいました^^;

 

今日は お出かけしていて主に往復の電車の中で読んだのですが

目頭が熱くなって ウルウルしてきて 平静を装いながら読みました。^^;

 

ほたるは 新人公演で主人公の子役時代の役をもらうのですが

役が憑依したかのように 全身全霊で演じ

「伝説の新人公演」と語りぐさになるほどだったのですが…

 

「全体のバランスや力の抜き加減を勉強しないとね」と 相手役に言われてしまいます。

 

やりすぎると 全体の芝居を壊してしまいかねない。

下手に主役を繰ってしまえば悪目立ちということになってしまう。

           

 

 

 

先日 花組の和海しょうさんが 同様の事をスカステニュースでおっしゃってました。

自分のしたい芝居をするのではなく 「全体のバランス」を考えてほしい、と

「ノクターン」の時に、演出家の原田諒先生に言われたそうです。

 

宝塚の娘役たるものは稽古場や入出のさいにも常に身だしなみに気を配り

可愛く美しくあろうと心がけなければならず

 

最近では 入出待ちの写真がSNSでも拡散されるのでますます大変です。

 

研2で新公娘役主演に抜擢されたのは 歌が巧かったから。

ダンスに苦手意識があり 相手役の人気男役・薔薇木涼に

遠慮意識もあり 大切なデュエットダンスのリフトで転倒してしまい、

ますます弱気に…

 

薔薇木涼はプロデューサーから組替えを言い渡されます。

「おまえに一番足らんもんは色気や。真面目で誠実な人柄がそのまま舞台に出過ぎている。

 

 

 

花組で目殺しを修行してこい」  <中略>

 

花組は最も歴史が長く、男役のキザさ加減では群を抜いていると言われる。

 

そのとーーーり!!

そして 花組は かわいいね、すてきだよ、と相手に伝えるのが普通だから、

花組から宙組に組替えになった まぁ様(朝夏まなと)が宙組で同じように言ったら…

「チャラ男」と呼ばれる羽目に…( ̄∀ ̄) 組のカラーの違いってスゴイんですね^^;

 

男役・花瀬レオンがお芝居で娘役に挑戦することに。

ありますね、男役さんが スカーレット・オハラとか ジャッキー(ミーマイ)とか。

 

娘役とは宝塚以外の世界にはいない。一から十まで作り込まれた、

男役のためだけに存在する幻の女なのだ。

男役は特殊な存在だが それはさらに特殊な娘役という存在によって成り立っている。

女性が男性を演じる男役より、実ははるかに難しいのではないか。

 

…とよく言われますね。

 

「娘役」の宝塚部分は 読んでいてはっきりと思い浮かべることができて

本当に楽しかったです!

 

チンピラの片桐は、大鰐組の元組長 通称ムッシュ殺害の密命を受けて

尾行をしているうちに 宝塚大劇場に迷い込みます。

ムッシュは ヤクザの親分ながら 密かに「宝塚観劇」の趣味があった、という

突拍子もない設定ですけど 読まされ、泣かされます。

 

宝塚とヤクザが絡む小説、

気がついたら 温かい気持ちに満たされていました。

 

自分の本だったら マーカー引いておきたい文章がたくさんありました。^^

 

ほたるが 組プロデューサーのところへ 退団の意思を伝えに行って

慰留される件は とてもリアルで 

実際もこんな感じなのかしら、と参考になりました^^

 

今回初めて知ったのですが 著者の中山可穂さんは

大学卒業後に劇団を主宰、作・演出・役者をこなされていたとか。(Wikipediaより)

舞台に造詣が深いからこそ、の作品なのですね。

そして 自身、宝塚ファンだそうです、なるほど真実味があるわけですね♪

 

サクッと読める ライトノベルですが

ヅカ初心者には 目からウロコの情報満載の作品。

 

おすすめです!