⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

百田尚樹著 モンスター 読みました♪

以前 「後悔と真実の色」の新聞広告の隣に
「衝撃の問題作!」「全国女性書店員から大反響!」
ベストセラー、ボックス、永遠の0の著者待望の書き下ろし!
と !マークが踊る「モンスター」の広告が出ていました
ベストセラー作家の 書き下ろしの新刊とは!?・・・と
図書館に予約を入れて、半年待ってようやく回ってきました monster.jpg


ネタバレあり ↓

主人公・田淵和子は 畸形ともいうべき醜い顔で
幼い頃から 友達もなく 親・姉妹からも疎んじられ
不遇の少女期を過ごしていた・・・

高校時代、想いを寄せる同級生・高木は 女生徒たちの憧れの的
彼の目が見えなくなったら 自分の醜い顔もみえなくなる、と
彼の飲み物にエチルアルコールを混入すると言う事件を起こしてしまった和子
(こんなことをしでかす時点で和子は内面も醜悪!!)
事件は街中に知れ渡り 皆は 和子の顔も行動も「モンスター」だと噂する

故郷にも居られなくなり 
家から放り出され 母方の祖母の養子に入って名前も変えて
東京へ出て行った和子(後の未帆)

社会人になったある日 なけなしの貯金をはたいて
目の整形をしたところ
こんなに印象が変わるのか・・・?
彼女の人生の歯車が 大きく回り始めた!


整形のためなら、と資金稼ぎに風俗店で働き、 
大金を手にしたら すぐにまた整形・・・の繰り返し
彼女を目にした男たちの態度が かわっていく様が面白い

別人のように美しく生まれ変わった彼女は
故郷に戻り 高級フランス料理店を開く
それは 高校時代の憧れの彼・高木を振り向かせたい一念で
はたまた 自分をあざ笑った人間に復讐するために

ついに 高木がレストランに現れた
何百回も頭の中で思い描いたシナリオ通りに会話を進め
彼の関心を引くことに成功する
焦らしたり 誘ったり 無視したり 甘えたり・・・彼を翻弄し
蜘蛛が 糸にかかった獲物を手繰り寄せるように、 彼の心を絡め取っていく和子

最後に自分は 高校時代同じクラスの和子である事を告白する・・・

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整形に傾倒して 本来の自分の姿かたちを全て消し去る事、
それは 和子にとって 呪われた過去を消し去るのと同じなのですね

「美しいこと」が いかに生物学的にも利点があるのか、が説かれています
自分がどのような人間に生まれてくるかは「運」なのに・・・。
運は自分では選べないんですけどっ?


あんまり気分のいい話ではありませんねぇ 
ふぅ~ やっぱり「問題作」だわ   (。´Д`)

読んでる最中は どんどん美しくなっていく和子(=未帆)に興味津々で
ページを繰る手が止まらないのですが、

詰まるところ、

たいそう醜かった女の子が 風俗店で荒稼ぎしたお金で
絶世の整形美女に生まれ変わって
昔好きだった男の子を20年後に 自分に振り向かせた、って話

全編通して 顔の美醜のみが取りざたされ
それだけが 恋愛・結婚の決め手になってるようなトーンで書かれています

人間の魅力って 美しさも要素の一つではあると思うけど 
音楽やダンス、スポーツなどの才能、物の考え方や性格、話し方、体格・体型・・・etc
いろいろな糸が織り成す錦のようなものだと思うから
一面的に捉えている このお話の内容には共感しかねますっ! 

この本に登場する男性たちは、皆、顔の良し悪しのみで
女性を判断する 単純な男たち
和子の美への執念を正当化するために登場する男たちなのです

なんだか 哀しく 空しいお話でした


おもしろうて やがて悲しき 「モンスター」