happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

「ふがいない僕は空を見た」読了♪

昨年の6/26に図書館に予約していた
ふがいない僕は空を見た」 読みました♪

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2011年本屋大賞 2位の作品です。
因みに第一位は 先日読んだ「謎解きはディなーの後で」です。
そして 第24回山本周五郎賞受賞作品。

著者は窪美澄さん。
妊娠、出産、子育てについて書いておられるライターです。

  ネタばれあります ご注意ください 


「ミクマリ」というタイトルの最初の章は
第8回「女による女のためのR-18文学賞」受賞作品。
そして新潮ケータイ文庫に掲載された3作と書き下ろしの一編を
合わせた5章からなる作品です。

ひとつの章ごとにそれぞれの主人公目線で書かれていますが
全部がひとつのお話です。


主人公は高校生・斉藤卓巳
父は家を出て行き、母が一人で助産院を営み生活を支えている。
卓巳はコミケで知り合った
コスプレマニアの主婦と逢瀬に耽る毎日・・・。

いきなりセックスシーンで始まる!!
えーーーっ いきなりコレ?
この先どういう展開??
ってちょっと引いたが・・・
セックスの描写が 淡々と描かれ
かなりいやらしいことをしてるのに
あ、そ。て感じです 

主婦の通称「あんず」は、小中高とずっとイジメられていたという過去を持つ。
結婚はしたけれど、子供に恵まれず 
不妊症のために夫婦で人工授精にチャレンジ中。
高校生の卓巳との情事にふけって 現実逃避を送るも
夫や義母に見つかって アメリカへ代理母を探しに行くことになる・・・。

卓巳の友人の福田くんは、
その生い立ち故にずっと苦労を強いられている。
痴呆のおばあちゃんと団地で二人暮らし。
貧困と闘いながらも
なんとか日々のやりくりをしている状態。
たまに帰ってくる母はネグレクトであてにできないばかりか、
大切なバイト代すら掠め取っていく。
そんな福田くんはバイト先の先輩のアドバイスで
貧しい中にも大学受験への夢が芽生え、将来に希望を持つようになっていく。

卓巳に思いを寄せる女子高生・松永と 不思議な家族の日常。

皆それぞれに 苦労をしていて、
生きていくのに 不器用で。 でも一生懸命で。
そんな ちょっぴり生き辛さを感じてる5人の生き様。


登場人物が皆 綱渡りのような危うい人生を歩んでいるのだけど
それぞれの関係がとても温かく描かれていて
最近希薄になりつつある 現代人の人間関係より
強い絆で結ばれているのが救い。

皆 それぞれに悩み苦しみもがきながらも
悲観することなく 明日を見据えて行くところが
力強く描かれ 
読後感が超爽やか!


性と生は切り離すことはできないのです。

一時の快楽に身を任せることは 愛や夢だけではなく、
その先には 新しい命の誕生という生生しい現実がある。

そんな当たり前のことだけど ちょっと忘れている
若者たちへの 警鐘であり エールでもある、と私は思いました。




この作品が映画化されると知りました。

版元の新潮社には30件以上の映画化オファーが殺到したそうです
                          (映画.comより)

卓巳に永山絢斗さん、あんずを田畑智子さん・・・
こりゃ大変だ。
体当たりの演技・・・ガンバってください!