中村文則著 「迷宮」を読みました♪
今年の7月1日の新聞の書籍の広告に出てて
面白そうだったので読んでみました。
「巧みな謎解き、息もつかせぬエンタテイメント!!」
その迷宮事件の謎へ、彼女の謎へ、僕はのめりこんでいく――
主人公・僕は、ある朝、紗奈江という女性の部屋で目覚めた。
女性は、バーでたまたま一緒になった元同じ中学に通っていた女子
ほとんど面識もなかった相手だったけれど ずるずるとそのまま
女性の部屋で一晩過ごしてしまった…
実は紗奈江こそが 世間を震撼させた猟奇殺人事件の
被害者一家唯一の生き残りだったのです。
その事に、「僕」の中のあるものが強く反応し、
事件への尋常ならぬ関心を寄せていきます。
事件をひも解くうちにある疑念にとらわれます。
その謎を解こうとすればするほどに
がんじがらめになっていく主人公…息詰まる展開です
「僕」自身にも、「愛されなかった」というトラウマがあり
心の中にRという別人格を宿していた。
紗奈江もまた、ちょっと歪んだ家族関係の中で育ち、
そしてあの事件は…起こるべくして起こった…。
それは彼女が望んでいた展開だったのだ…???
本編の最後に、紗奈江が迷宮入りした事件の顛末を語ります。
そこで初めてなぜ迷宮入りしたのか、納得がいきます[emoji:e-77]
それでも 僕に、謎が二つ残った。
こう考えれば、腑に落ちる、という、
「僕」が考えた答えは…とても怖いです。
そして幼い頃、心の中にRという狂気を宿していた「僕」だからこそ
紗奈江を理解してあげることができるのです。
小さい頃、精神科医に
「そうやって生きていくとね、大人になった時に大変なことになるんだ」
と言われた僕だからこそ。
心の中に闇を持つ同類の二人が、
やっと落ち着ける居場所をみつけたのでした。