happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

【柚木麻子】「幹事のアッコちゃん」読了♪

柚木麻子さんの「幹事のアッコちゃん」を読みました。

         幹事のアッコちゃん


以前、「ランチのアッコちゃん」を読んですごく面白かったし
柚木麻子さんは「その手をにぎりたい」を読んだ時に
食べることがお好きなんだろうなと思いました。

食に関する描写が上手い!!

食べることが大好きな私はもう想像するだけで
生唾もん!ってことがよくあるので
読んでてワクワクです。

そういう意味では、高田郁さんの「みをつくし料理帖」も
興味深く楽しよく読みました。巻末にレシピもついてますしね♪
作ったことないけど… べっ甲玉は作ってみたかったです♪

さて~ この本には4編収められています。

第1話 幹事のアッコちゃん (表題作)
第2話 アンチ・アッコちゃん
第3話 ケイコのアッコちゃん
第4話 祭りとアッコちゃん

まず、表題作「幹事のアッコちゃん」の冒頭

だしの香りはほのかに甘く、かつおと昆布のふくよかな風味を吸い込めば、
身体の深いところへ、旨味の星粒が落ちていく。たっぷりと汁気を吸い、
淡い飴色に繊維を浮かせた大根は、頭上に浮かぶ満月そっくりだった。

                                       (本文より引用)

この三行だけで 一気に柚木麻子ワールドに引き込まれてしまうのでした。

2013年刊行の「ランチのアッコちゃん」がシリーズ化され
2014年に「3時のアッコちゃん」も刊行されましたが未読。
「幹事のアッコちゃん」は 今年の2月に刊行されたのですが

前前作から アッコちゃんの生態?は変わらず
やはり、澤田三智子は アッコちゃんに振り回されながらも
その生き方に憧れているのでした。

表題作 幹事のアッコちゃん

営業二課の久瀬涼平は、忘年会の幹事を任された。
どこか冷めたところのある涼平は
一生懸命に何かに力を入れるのが苦手なタイプ。
人付き合いもほどほどに…。
額に汗して 走り回って頑張れば どんな困難も乗り切れる!とばかりに
張り切り、人の懐にはいるのが上手い先輩・澤田三智子を少しうらやましく、
少し疎ましくも思っている様子。

そんな涼平は、忘年会の幹事なんて 一生懸命やったって
どうせ誰かから文句がでて
全員から喜ばれることなんてないんだから 損な役回りだと思っていました。

そこへ!! アッコちゃんの喝!!

まず、自分が楽しむこと!
人の顔色を伺うのではなく、 自分が楽しいと思ったことに
他人を引き込む!

その極意を聞いて、一念発起して企画した忘年会は大成功!!

アッコちゃんと涼平の串カツ屋での一コマ。

学生時代、友達や彼女に裏切られ人間不信気味の涼平は
串カツ屋のソースの壺に二度漬けする人間がいるのでは?と疑っていました。

アッコちゃんは、言います、
もし、隠れて二度漬けするような人がいたら その人は、もう何も信じられなくなる。
他の誰かも自分のように二度漬けしているかも?と疑心暗鬼になる。
それがわかっているから 皆、規則を守る。自分のために。
他人を裏切るということは 自分を裏切るということだから。

涼平は、裏切られたと思っていたけれど 自分にも非があったのかと
考え直すのでした…

アッコちゃんは 黒々としたおかっぱ頭の大女、という設定。
愛想のかけらもないけれど ものすごい行動派で人情に厚い。
そして、サラッと素敵なアドバイスをくれるんですね!

だから 読んでいて 小気味いいし、
アッコちゃんのアドバイスを私ももっと聞きたい、って思います。

串かつの美味しそうな描写には生唾ゴクリでございます。

第2話 アンチ・アッコちゃん
フードライターの女性(名前忘れた!)は、アッコちゃんと同じ大学同じ学部卒。
実は学生時代からアッコちゃんを知っていて彼女に憧れていた。
今ウェブのライターをしている彼女は ここぞとばかりに
アッコちゃんに取材を申し込み、アッコちゃんが展開する 
「東京ポトフ&スムージー」をこき下ろす記事を書くのですが…

表面は強気だけれど 意外に弱い素を見せられて
アンチ・アッコちゃん返上!
そのプロセスが 心にじわ~と来ます。
「みどりのグズグズ」が本当に美味しいのか作ってみたいけどコワイ 

ケイコのアッコちゃん

アッコちゃんが密かに通っていたお稽古とは…けん玉でした。
アレ、海外でも流行ってますね。
集中力を養うのよね??

祭りのアッコちゃん

三智子の会社高潮物産は アッコちゃんの「東京ポトフ~」の事業買い取りの交渉を
三智子に任せていました。

元先輩の会社を買収することになるとは…
そんな気持ちを 逆にアッコちゃんにたしなめられます。

アッコちゃんが姿を消して数日たったある日、ふとテレビを見ると
そこには アッコちゃんがNYヤンキースタジアムで
三智子が冗談で提案した恵方巻きを、ハッピーロールと名付けて
売り込んでいる姿がっ!
どこまでもたくましいアッコちゃん。 連絡ぐらいして行きなさい!笑
 

これが本当のM&Aね。

企業買収ではなくて M(三智子)&A(アッコ)ね、という落ちでした。

痛快爽快、 涙 のち 元気出る、アッコちゃんシリーズです!!
楽しかった~!

おすすめです!!