happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

話題の本、「82年生まれ、キム・ジヨン」を読みました

メディアで話題の韓国本を読んでみました

韓国でミリオンセラーとなった小説「82年生まれ、キム・ジヨン」を読みました。

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2019年3月16日の朝日新聞の「ひと」欄に著者のチョ・ナムジュ(趙南柱)さんが紹介されてました。

この本は昨年日本で翻訳出版され アジア文学では 異例の9万部売れたとか。

女性差別を描くフェミニスト本。

日本の女性も境遇がそっくり。共感されたのでしょう。(読後感想の読者カードを読まれたようです)

…とおっしゃっていますが、日本は韓国ほど男女差別はひどくないと思います。

昔の封建的な日本はたしかに家父長制があったので男尊女卑の傾向にあったとは思いますが…

小説というより ノンフィクション的記録小説?

2015年秋、結婚して子供もいる「82年生まれのキム・ジヨン」が精神的に不安定になり夫が病院の精神科に相談するところから始まります。

  1. 2015年秋
  2. 1982年~1994年
  3. 1995年~2000年
  4. 2001年~2011年
  5. 2012年~2015年
  6. 2016年

の6章からなります。2~5章は、精神科医がキム・ジヨンから聞き取った、彼女の生い立ちなどが克明に記されています。1と6章は、精神科医のモノローグです。

近くて遠い国韓国を実感

2002年サッカーワールドカップ共同開催により、私にとって韓国は身近な国になりました。

NHKで「冬のソナタ」が大ヒットしたことに続いてどんどん韓国ドラマが入ってきました。隣国なのに、どんな国なのか知ろうともしなかったことにその時初めて気づきました。

ドラマには生の今を生きる韓国の人達が描かれていたからです。

韓国って日本に似てる、と思いましたが 儒教の影響が色濃く支配していることも感じました。

「昔の日本のよう」それで昭和ヒトケタ世代のマダムたちもどことなく懐かしから「冬ソナブーム」が起きたのだと思います。

でも 筋金入りの儒教国家韓国では 今でも男尊女卑が社会に浸透していて 「女性だから」と不当な扱いを受けることが普通に行われていることを この小説で知りました。

読んでいてイライラします。

1999年に「男女差別禁止及び救済に関する法律」が制定されたそうです。えっ!ほんの20年まえの出来事ですよ?

男女差別は無いのが当たり前と思って生きてきた私には、法律を作らないといけない状況というのが驚きでした。

 

就職でも、優秀な女子より 何の取り柄もない男子が重宝され、大学の先生までが「女があんまり賢いと会社で持て余すんですよ」というのです。

賢くても駄目、バカでももちろんダメ、結局どうであれ「女」だからダメなのです。

差別をするのが個人ならまだしも 社会全体が男尊女卑だから この考え方をなくすのは本当に難しそうです。

が! 自身の経験から チョナムジュさんがこの本を書いたことで 男尊女卑社会に一石を投じたのです。

そして 韓国人女性が男女差別に苦しんでいたことを広く知らしめたことに大きな意義があると思いました。

 

それにしても、なぜ「差別」するのか理解に苦しみます。

差別して自分が優位に立って気分がいいのか? それは幼稚な思想ではないのか?と思うのですが。

 

男女差別する男性に問いたい。

人は生まれ落ちた時からひとりで生きてはいけません。おっぱいを飲ませてもらい、おむつを替えてもらい、病気のときはつきっきりで看病して成長を見守ってくれたのは誰ですか?と。

 

宗教上の理由で女性が肌を出すことを許されなかったり、外出もままならない国もあります。

そんな国に生まれなくてよかった、とつくづく今幸せなんだなと思いました。

 

「儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇」

以前、ケント・ギルバートさんが書かれた 「儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇  」を読みました。

中国の中華思想も儒教から来るものらしいです。

より中央に近いものが偉く、年長のものが偉く 女性より男性が偉いのです。

だから 中華思想では 中国>韓国>日本 中国から遠い日本の位置づけが低いのだそうです。

なぜ悲劇か、というと 年長のものを敬うがために 間違った事を年長者が言っても誰もそれを正すことができない、間違った年長のリーダーがいると 誰も軌道修正できずに失敗、破滅につながる、というような事が書かれていました。

 

年長者を敬うことはいいことですが 間違って使われると弊害もある、ということですね。

 

昔の日本も武家社会が儒教を重んじていたので 男尊女卑が当たり前で、家父長制もありましたから 食事も男性には一品多かったりは当たり前で よく時代劇などでもみられるような 男性は座敷で食べ、女性は板の間で食べるという、家族の中でも「差」が付いていました。

 

日本から儒教の教えが消えていったのは、第二次大戦後、アメリカのリベラルな思想が入ってきたからかしら?

封建的、と嫌がられる風習が続いている地域や家庭もあるのかも知れませんが。

韓国で110万部(2019年2月時点)

韓国では、女性を中心に「私も経験した!」と共感を呼んでベストセラーになったのだそうです。

K-POPのアイドルがこの本を読んでいる、と発言しただけで炎上??

日本と韓国。パッと見、同じような顔をして 同じような生活をしていても 社会そのものがこんなに違うとは目からウロコでした。

 

人間である限り 男女同権のはずです。

チョナムジュさんがインフルエンサーとなって 韓国も新しい時代に舵を切ったらいいのにな~と思いました。