前から読みたかった、青山美智子さんの著書『月曜日の抹茶カフェ』。
いつもながら、優しく温かい世界が満ちていて大好きな作品。
1話の中に必ず、素敵な言葉が出てきます。
後から読み直せるように、書きとめておこう。
目次:
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『月曜日の抹茶カフェ』は『木曜日にはココアを』の続編?
桜並木のそばに佇む「マーブル・カフェ」では、定休日の月曜日に「抹茶カフェ」が開かれ――。ツイていない携帯ショップ店員、愛想のない茶問屋の若旦那、祖母が苦手な紙芝居師、京都老舗和菓子屋の元女将……。一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ心癒やされる物語。
引用元:宝島社HP
この縁は、きっと宝物になる――。
人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押していることに気づく、
一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ12ヵ月の心癒やされるストーリー。『木曜日にはココアを』のおなじみのメンバーも登場するシリーズ続編
引用元:Amazon
『木曜日にはココアを』でおなじみのメンバーが登場しますが、お話の内容は全くの別物です。
最終章で、やはりココアさんがエアメール用の便箋に手紙をしたためていました^^
1話の登場人物のが2話に出て…というリレー形式で12話
このお話は1年12ヶ月の物語なのです。
- 月曜日の抹茶カフェ(睦月・東京)
- 手紙を書くよ(如月・東京)
- 春先のツバメ(弥生・東京)
- 天窓から降る雨(卯月・東京)
- 拍子木を鳴らして(皐月・京都)
- 夏越の祓(水無月・京都)
- おじさんと短冊(文月・京都)
- 抜け巻探し(葉月・京都)
- デルタの松の掛の下で(長月・京都)
- カンガルーが待ってる(神無月・京都)
- まぼろしのカマキリ(霜月・東京)
- 吉日(師走・東京)
1.月曜日の抹茶カフェ(睦月・東京)
年末年始が忙しい携帯電話ショップの私。
遅めの初詣の帰りにツイてないことが立て続けに起きて意気消沈、マーブルカフェに寄ってみると、定休日、やっぱりツイてない??
いや、定休日だからマーブル・カフェではなく、1日限りの抹茶カフェになっていました。
マスターは、SNSなどで宣伝はしない、といいます。
ふらっと立ち寄ってくれたり、見つけてくれたり…を大事にしたいそう。
「人でも物でも、一度でも出会ったらご縁があったってことだ。縁っていうのはさ、種みたいなもんなんだよ。小さくても地味でも、育っていくとあでやかな花が咲いたりうまい実がなったりするんだ。種のときは想像もつかないような」
(出典:『月曜日の抹茶カフェ』P14)
うん、上手い例えだわ。
小さな「御縁」という種も、水を上げて、太陽の光にあてて「育てる努力」をしないと枯れてしまいます。
ただ、素敵な出会いなら、心や手間を惜しまず育てていかないとね!
今日はついてないんだ、という「私」にそれはただの「ドジ」だと言われてしまいます。
ツイてないと思ったけれど、そのせいで抹茶カフェに来れたし、抹茶を入れてくれるお茶屋の若旦那の吉平さんに出会えて御縁がつなげたし、ツイてるじゃない!!^^
捉え方で180°見え方が変わるから、
悲観しないで、ポジティブで行こう!!
2.手紙を書くよ(如月・東京)
ひろゆきは、妻の理沙を怒らせてしまった。
理沙とひろゆきでは、物事に対する温度差が違うようです。
理沙にとって大切な二人の思い出をひろゆきは全く覚えていない、
手紙に愛しているって書いてくれたよねと言われ、そんなこと書くはずないと言って
とうとう、私なんてどうでもいいんでしょ、と泣かれてしまいます。
理沙の好きなお茶のことなら覚えている、と仕事帰りにお茶を買いにマーブルカフェに行ってみると、あいにくCLOSE
近くのお店に行ってみるとランジェリーショップでがっくり。
ひろゆきは店主の尋子さんに妻とのやりとりを聞いてもらったところ、こんなアドバイスをくれました…
「思い出って、流れ流れ行く時間を留めておくピンのようなものかもしれませんね。
だけど留める場所は人それぞれだから、ピンの位置がちょっとずれちゃったりもするんですよ」(出典:『月曜日の抹茶カフェ』P38)
同じ思い出を共有している相手でも、自分の印象的なことを中心に覚えているので、こんなことがあったね、と話しても相手はそんなこともあったかなぁ、となったり、またその逆もあったり…経験あります。
自分の感性に引っかかったものはよく覚えています。
愛していると書いてくれた手紙が大事なんじゃない、そういう事実があったことが大事。
形じゃなくて、心、ね。
3.春先のツバメ(弥生・東京)
1点もののハンドメイドランジェリーショップ「P-bird」の店主、尋子さんから、ギターを抱えて入ってきた女性への言葉。
4.天窓から降る雨(卯月・東京)
大学時代からの名残で、社会人になってもライブハウスや野外イベントで歌を歌う佐知(3章で登場したギターを持った女性)は、マーブル・カフェのイベントでも歌ったりしていました。
そのイベントで紙芝居ををしていた光都(みつ)と知り合い、懇意になりました。
両国の温浴施設でまた〜りする二人。
実は佐知は婚約者の海外赴任についていけない、と一方的に婚約破棄を申し出たのでした。
「自分が一番大事だって感じることをちゃんと大事にできたんだから、それでいいんだよ。佐知は、思ったようにしていい。これからもずっと」
(出典:『月曜日の抹茶カフェ』P75)
なんて力強い言葉、背中を押してくれる言葉…自分がしてしまったことに思い悩み、自信をなくしているときに、こんな言葉をかけられたら…泣いちゃう!
5.拍子木を鳴らして(皐月・京都)
光都は、京都の老舗和菓子店の一人娘。
忙しい両親の代わりに口うるさいおばあちゃんに育てられました。
おばあちゃんから逃げたくて、東京の大学に進学したほど。
ここでは二人の会話がメインです。
タイトルの拍子木は、紙芝居が始まる時に打ち鳴らす拍子木です。
6.夏越の祓(水無月・京都)
水無月という和菓子は、暑気払いに公家が口に含む貴重な氷の代わりに、と庶民が氷に見立てて作ったお菓子。
橋野屋の水無月に光都の祖母、橋野タヅの和菓子屋の女将としての矜持が詰まっています。
7.おじさんと短冊(文月・京都)
猫視点のお話、吾輩は猫である、ばりに、あたしは猫。で始まります。
猫が居着いている、古本屋のおじさんの様子が描かれた10ページの超短編。
感動も何もないけれど、次章の登場人物なので、ここで書いておく必要があったのでしょう。
8.抜け巻探し(葉月・京都)
7章で登場した古本屋のおじさん。
下鴨神社の糺の森(ただすのもり)の古本市に出店しました。
デートでやってきたカップルのタカハルくんがずっと探し求めていた多巻ものの2冊目を発見、ようやくコンプリートできた!と喜んだのもつかの間。
女性が表紙を見て、気持ち悪い、とバッサリ。
一旦は諦めた彼は、女性がトイレに行っている間にこっそり買いに来ました。
9.デルタの松の掛の下で(長月・京都)
タカハル(孝晴)くんは、愛知から京都の大学(多分同志社)に進学しイベントで知り合った千景ちゃんとつきあっていましたが・・・
8月、別れを宣告されて悶々としていました。
鴨川デルタ(鴨川と高野川の合流地点の三角地帯)で友人の実篤とお気に入りの漫画のことで盛り上がります。
大学では、成績以外のヒエラルキーを感じ、一生逆転できそうもない、三角形の底辺だ、と嘆く孝晴。
相手に気に入られることばかりに気を取られ、自分を見失っていました。
に、実篤くんはいいます、
いいですね〜♪
まだまだ、これから!!と未来に希望を繋げば、モチベーションアップ!
終わった…と思わなければ、まだまだ勝算ありですもんね!
10.カンガルーが待ってる(神無月・京都)
オーストラリア人のマーク視点。
マーブルカフェのマスターとの仕事で来日しています。
マスターは、新人アーティストの個展を開くお手伝いをしていて、活躍できるアーティストを見出すことに関しては相当の目利き。
マスターは開催中のTeruyaの個展につれていきます。
マスターは、
ですね!
大学受験だって、希望の大学に合格して終わりではなく、
そこがスタートだ、っていう、ね。
誰かの手と繋がって、誰かの世話になって生きています。
生きるって、必ず誰かと繋がっているということ。
繋ぐ手はあるよ、とマスター、温かいやりとり^^
11.まぼろしのカマキリ(霜月・東京)
たっくんは小学生。
友達と学校帰りに寄った神社で11月というのに大きなカマキリを発見したのでした。
カマキリはどこかに行ってしまったけれど、卵が残されていました。
誰が育てるんだろう?
(出典:『月曜日の抹茶カフェ』P192〜193)
12.吉日(師走・東京)
1章で抹茶カフェでおうすを立てていた吉平が実家の老舗茶問屋・福居堂東京支店を出店し本格的に東京に乗り出すことになりました。
てきとーに勉強して、てきとーに入った大学を出て、そのまま実家の茶問屋に就職。
このまま京都で敷かれたレールの上を行くものだとばかり思っていたので、
東京はお前に任せた、という父親からの言葉は晴天の霹靂でした。
東京で茶協会の会合があり、父に代わって出席。
以前から知り合いのマーブルカフェのマスターに1日だけ抹茶カフェをやらないか、と誘われたのが1月のことでした、
2月に上京した際にマーブルカフェに寄ってみると、1月に濃茶を頼んだ彼女と同じようなマフラーを置いた席があり、彼女か?と期待するが
戻ってきた彼女は別人、
「知り合いかと思った」とジロジロ見ていた理由を話すと
「会いたかったんですね、その方と」と本心を言い当てられ、胸の鼓動が早くなる、
認めていなかったけれど、そうだったんだ、と改めて思う吉平。
スマホは未完成で、最後まで完成なんてない、常にアップデートしていくもの、人間と同じ、と言う言葉も印象的でした。
抹茶カフェで出会ったスマホショップの彼女が熱く語ってくれた言葉を胸にがんばって。
ようやくオープンの日を迎えました。
オープンと同時に現れたのが、ずっと会いたかった彼女でした。
彼女もまた、吉平が貸してあげた手ぬぐいを返そうと、ずっとオープン情報をちぇっくしていたとのこと。
「会いたかった」…二人の思いが重なって、素敵な未来を予感するラスト。
温かいものがこみあげてきます。
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青山美智子さんの作風、好きだわ〜♪
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