キャッチーなタイトルに惹かれて読んでみました
『エレガントな毒の吐き方』、インスタの読書アカウントからたくさん読んだ報告が上がっていたので、私も図書館に予約していました。
その時点から、Amazonの★の評価がいまひとつ。
まぁ、こんなものか、の★3つもあれば良いほうか。
Amazon ★3.7 ★5=39%
「エレガント」という言葉と、「毒を吐く」という「エレガント」には似つかわしくない言葉が繋がっていて興味をそそられます。
それ故に、このタイトルがキャッチーで多くの人が手に取り、読みたい、と思ったはずです。
その割に、Amazonの評価が3.7と4以下で、★5の割合も4割を切っているのは、羊頭狗肉…は言い過ぎでも、期待したほどの内容ではなかった、と言う証。
林真理子さんの『奇跡』も、どんな奇跡が描かれているのかと思えば、ただの不倫話、しかも著者と登場人物がお友達で、忖度働きまくりの内容で腹立ちすら覚えました。
本は売ったもん勝ち、なのかな。
やんわりと毒を使う京都人にリスペクトの著者
サブタイトルは、
脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術
これもそそられます。
言いにくいことを、角を立てずに言いたい、という思いは誰しも持っていますから、気になります。
毒を吐くというより、上級の嫌味で、後から毒がじわじわ回るようにする手法、とでもいいましょうか…
相手をやり込めるような言葉をガツン!というと、その場はスカッとするでしょうけれど
後々の人間関係や仕事などで支障をきたしたり、後悔することになる恐れもあります。
そんな時、京都人ならこうするよ、という例を紹介されています。
東京生まれの中野信子さんだからこそ、の京都人リスペクト
中野信子さんは生粋の江戸っ子で、思ったことはポンポンという気質のお家で育たれたようです。
火事と喧嘩は江戸の華、と言われるように、パーンと言い切って、相手も言い返して喧嘩になっても翌日はケロリとしている、そんなストレートな江戸気質。
正論を全力でど真ん中に投げ込むような。
そろそろ帰って欲しいわ、という相手に、「もうそろそろ…」とは言わず、逆に「ぶぶ漬けでも食べて行きはったらどーどす?」と逆説的手法に出る話は有名ですが、
あれも京都の高等手法のひとつ、ね。
そういう京都人のやり方に中野さんは、感心しておられるのです。
京都の人と一口に言っても、その家、その家のカラーもありますし、個人の性質もあるので十把一絡げに
京都人はこんな時、こう言う!という図式にするのもどうかと思いますが
ひとつの読み物として面白いです。
NOを言いにくい時の言い方レッスン
7つのレッスン
- 褒めているように見せかける
- 遠回しな質問で相手に答えを出させる
- 自分を下げる枕詞を入れて断る
- オウム返しで受け流す
- 証拠のない第三者をひっぱりだす
- 知っておくと便利な4つのキラーフレーズ
- 褒められて居心地が悪い時は「受け入れて、流す」
3つの「上級」レッスン
- 笑いに持ち込む
- 「依存」「下心」「利用してくる人」撃退法
- 相手のイケズを正しく読み取る
それぞれのレッスンに例え話が載っているのですが、なかなか難しいな、と。
たまたま、そう云う事例があったとしても、実際の場面で、相手がどのように受け取るかはケースバイケースのように思います。
試しにやってみる価値はありそうですが。
「やんわりと」は京都ならではの知恵
なるほど、と思ったのは、ながらく都のあった京都は、他の地域から入ってくる人も多く、そういう「よく知らない人」と円滑にコミュケートするには、婉曲表現で角を立てずにお引取りいただくための術が必要だった、と中野さん。
ちょっとまだるっこしい気もしますが、伝わらない時はどうするんだろう、と気になりますね。
上述のぶぶ漬けの件も、
同じ文化で育っている人には通用しますが、ヨソモノだと
「いえいえ、お気遣いなく」と遠慮してくれるならまだしも、
「あら〜!嬉しい、ごちそうになります」と本当に真に受けてしまうことも考えられます。
そういう時、「(真意が)わからんお人やなぁ」と内心、下げてやりすごすのだそう。
え〜〜w イライラしそう。
相手が自ら、自分の間違いを反省するように持っていく、
チラリと嫌味を混ぜて、気づかせるというのが
「エレガントな」ということなんでしょうね
はっきり言わない、持って回った言い方は、相手によっては全く通じないので100%いいとは思わないのですが…
脳科学とコミュニケーション
コミュニケーションは、前頭葉の血流を促すので、年を取ってからの会話はとても重要、とよく言われています。
中野さんお得意の脳科学的見地から言うと、セロトニントランスポーターが多いか少ないかで、「イケズ」を感じる脳か否かが決まるようです。
日本人には、少ない人が一番多く、多い人は3%。
セロトニントランスポーターが少ないと、不安に感じる、だから、「空気を読む」ことに長け、学習するそうです。
社交辞令と本音をどう見分けるか、とか載ってるんですが…
結局、相手との信頼関係がコミュニケーションを左右します。
信じるものは救われる。
相手を疑いだしたらきりがないし、
「コミュニケーションを怖がりすぎなくて良い」という章があるんですが、こんな本読んだら いろいろ考えてしまって余計に怖くなりそう(笑)
1日で読めるライトな本
脳科学者の中野信子さんだから、「脳科学に学ぶ」、となるのでしょうが、ほとんどが京都人に学ぶ、という感じで脳科学は付け足しに感じました。
2章の「シチュエーション別毒の吐き方」
三択問題、どう言うのが エレガントなのか 相手に知られず毒をしこめるのか…
これはページ稼ぎ?と思う余白の多さでした。
巻末にブラックマヨネーズさんのコミュニケーション能力にリスペクトされている著者とブラマヨのお二人との対談内容について書かれています。
京都出身のブラマヨのお二人ですが、洛中生まれでない(桂と伏見)ので、ちょっと違うような気もしますが…
京都人、というより、ブラマヨのお二人の人間性が会話に反映しているのでは、と思いました。