happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

近藤史恵著「タルト・タタンの夢」読了

近藤史恵さんの著作 初めて読みました

ブロともさんが ビストロ パ・マルの三舟シェフの勘が冴え渡る 近藤史恵さんのビストロシリーズ?を読んでいて、お勧めしていただいたので 図書館に予約していました。

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 お出かけの往復の電車の中で あっという間に読めてしまう ライトな短編が7編収められています。

普段はじっくり練ったプロットで唸らせるような小説や 深い感動と読後感に震えるような長編が好きなのですが、たまにはこういうのもいいですね。

なにより 私が嬉しかったのは シェフが謎解きをするというので フランス料理の調理や食材のことが詳細に綴られていて 知識も広がるし 何より 私はお料理をする場面を想像するのが大好きなのでとても楽しかったです。

フレンチとは全く関係ないのですが 江戸を舞台にお料理で大活躍する 高田郁さんの「みをつくし料理帖」が大好きでした。

創元推理文庫は、ミステリー小説を扱う出版社なのになぜ?と思ったんですが 謎解きも推理ですから~^^

初出は 「ミステリーズ!」

創元社のミステリー専門誌「ミステリーズ!」に掲載されていた作品を一冊にまとめて刊行された本です。

収録号

1 タルト・タタンの夢 2003年12月 vol.3

2 ロニョン・ド・ヴォーの決意 2004年6月 vol.5

3 ガレット・デ・ロワの秘密 2005年2月 vol.9

4 オッソ・イラティをめぐる不和 2005年6月 vol.11

5 理不尽な酔っぱらい 2005年10月 vol.13

6 ぬけがらのカスレ 2005年12月 vol.14

7 割り切れないチョコレート 2006年2月 vol.15

これらを集めて1冊にされているので シェフの外観や、ソムリエールの金子さんの趣味などがいちいち説明されているのが気になります。連載小説ではないので 一回一回この説明文を入れて 掲載されていたのでしょうが まとめるときは 最初の一回だけであとの方は割愛してもいいのでは?と思いました。

ビストロ・パ・マルと7つの物語

シェフ 三舟忍

スーシェフ 志村洋二

ソムリエ 金子ゆき

ギャルソン 高築智行

従業員4名のこじんまりとしたビストロに訪れる常連さんのちょっとした事件の謎解き。事件と言っても 警察沙汰になるようなお話ではないので気楽に読めました。

 

お店のスタッフのサイドストーリーなども メインのストーリーに絡んでちょこちょこ紹介されます。

 

1 タルト・タタンの夢

宝塚歌劇団のような プロメテウス少女歌劇団の男役・北斗なつみが結婚で引退することになった。彼女の婚約者になつみの手料理を出した所、体調を崩してしまったという。実は手料理はなつみが作ったのではなく引退が面白くない熱烈なファンの作ったものでした。

タルト・タタンは 普通のタルトと違って上下逆、という所がポイントで シェフの謎解きが冴えました。

彼の体調が悪かったのは ファンが故意にお料理に細工をしたためだったのです・・・

*鴨のアピシウス風= 鴨肉の皮目をカラメリゼして仕上げる 美食家 アピシウス氏が好んだ調理法

*ブフ・ブルギニョン= 牛肉の赤ワイン煮

2 ロニョン・ド・ヴォーの決意

超偏食家の粕屋と秘書で愛人の桶谷百合子が来店。ロニョン・ド・ヴォーを注文しました。とても手間のかかるロニョンに 自分も手間と愛情をかけて料理を作る! 料理の下手な奥さんには負けない、と宣言したのですがシェフに応援できない、とはっきり言われてしまうのでした。

奥さんは偏食のご主人の栄養がきちんと取れるようにあえて 血抜きや水に晒すなどということをしないで調理していたことがわかり…

*ブランダード 干し鱈とじゃがいもをすりつぶしてオーブンで焼いたもの

*ロニョン・ド・ヴォー 仔牛の腎臓 内蔵料理の王様

3 ガレット・デ・ロワの秘密

スーシェフの志村のフランス留学時代の話。奥さんの麻美さんとは留学時代に知り合った仲。

フランスでは 新年1月6日の公現祭にガレット・デ・ロワというケーキを食べます。中に陶器の人形などを入れて焼き、陶器の人形が入っていた人は1日王様(王妃様)になれる、という趣向です。志村夫妻が出席したパーティで志村が皆の前でフェーブを入れたにもかかわらず、そのフェーブはどこからも出てこなかった、と言う・・・

またしても 三舟シェフの勘が冴えて推理は的中したのでした。

4 オッソ・イラティをめぐる不和

オッソ・イラティとは…スペインバスク地方ので生産される羊乳から作ったチーズ。

このハード系のチーズ バルビには黒さくらんぼのジャムがよく合うのだそうです。

奥様が出ていってしまった、と嘆く脇田の奥さんはバスク地方への旅行から帰ったばかりで スーツケースにはワイン 冷蔵庫にはチーズと黒さくらんぼのジャムが入っていたのに 脇田さんは勝手にその黒さくらんぼジャムを手土産に持って行ってあげてしまった…

*AOC(アオセ)アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ フランスの農業製品に対して与えられる品質補償

羊乳でAOCを取得しているのは オッソイラティとロックフォールのみ

*イズニー エシレと並ぶバターの二大巨頭

5 理不尽な酔っぱらい

近くの商店街の甘味屋の息子の高校時代の苦い思い出と 酔っぱらい少年の謎。スイカを使うとは…よくそんな手口を 三舟シェフ、さすがです!

6 ぬけがらのカスレ

カスレとは…白インゲン豆とお肉をカソールという土鍋で煮込んだお料理だそう。

エッセイストの寺門小雪のリクエストでカスレに入れる肉は鴨ではなくガチョウで、と指定されたのだ。その理由は彼女のフランス留学時の彼との思い出に遡り…

ぬけがらの、とは 鵞鳥の肝臓はフォアグラで、フォアグラを抜いたあとの鵞鳥の肉で作るから ぬけがらの、になるんですね。ここにもほっこりするエピソードが盛り込まれています。

*グラティネ= オニオングラタンスープ

7 割り切れないチョコレート

隣町にチョコレートのお店が出来ました。名前はノンブル・プルミエ。

ショコラティエと妹さんが来店、口喧嘩をしていました。余命いくばくもない母を見舞ってほしいとの願いも聞き入れず 開店したばかりのお店を軌道に載せようと頑張る兄。

グルメ雑誌にも載るそのお店に シェフの遣いでギャルソンの高築が行ってみると 外まで並ぶ列が出来ていて ひとつずつ選んで買うのは大変そうなので詰め合わせを買って帰ります。23個入。その上は29個入、と割り切れない数字がカタログに並んでいました。

女手一つで育ててくれた母はいつも チョコレートやお菓子も兄妹で分けて 余ったらもらうよ、というのが口癖でした。だから 絶対に割り切れない数をいれようとしたのですね、必ず1個は口に入るように。

何という優しい心遣い。以後 パ・マル のチョコレートは ノンブルプルミエから仕入れることにしたようです♪

 

 

*アスタリスクのついたワードは 私が後学のために調べた覚書です。

 

タルトタタンは、こんなお菓子

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たっぷりとカラメルをまとったリンゴが美味しそうですね♪

このレシピは 三井住友銀行の前身、三井銀行のロビーのチラシスタンドに置いてあったレシピです。各月3レシピを配布されてたように思います。

いつか作りたい、と もう35年ぐらい棚で熟成させています。一体 いつになったら作るのでしょうか、私…w

 

 

この 三舟シェフのビストロのシリーズに マカロンはマカロン、ヴァン・ショーをあなたに、などあるのでまたそのうち読んでみたいと思います。

 

次は 木皿泉著「さざなみのよる」(本屋大賞2019 6位)を読む予定です。