⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

【本屋大賞】森見登美彦著「熱帯」読了♪

面白うてやがて哀しき…

本屋大賞2019 4位の作品。森見登美彦さんの 「熱帯」を読みました。

約500ページ、ズシンと重い本です。

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本屋大賞2019 ノミネート作品10作中 すでに 6作品を読了しました。

そしてバトンは渡された、ひと、さざなみのよる、ひとつむぎの手は 心温まるお話で、世知辛い現代においても人の心の温かさは失われてはいない、普遍的なものは色褪せないのだ、と改めて思わされる作品でした。

フィクションですけど 人間の「善」を信じたくなるお話です。

さて~~ ホラーの 火のないところに煙は と 力強い筆致でぐいぐい物語に引き込む ベルリンは晴れているかは いまひとつ心に響かず。

そして この「熱帯」、怪作と言われているそうですが 確かに…

最初はぐいぐい引き込まれ 途中からの 妄想ファンタジーについていけない

「最後まで読んだ人はいない」と言われている「熱帯」という本。

謎に包まれた本「熱帯」を解明しようとする人たちの「沈黙の読書会」、そこで行われるサルベージという

読んだ記憶の断片を持ち寄って整理する作業、千一夜物語との関わりなど 謎めいた内容が面白くスイスイと良い進みました。

が! 熱帯という本は、誰も最後まで読んだものはいない、という不思議な言葉にどういうこと??と 謎を解明したくてどんどん読み進んだのですが 途中から雲行き怪しくなり なんじゃこりゃ Σ(・ω・ノ)ノ! 

奇想天外のストーリーがアップテンポで語られていて どんどん場面が替わりますが ほとんど無意味、とは言いませんが なんか 活字と紙面の無駄遣いで500ページに膨れ上がった印象です。

もう 著者自身、勢いに任せて書いてるだけのような??

本の構成

第一章 沈黙読書会

第二章 学団の男

第三章 満月の魔女

第四章 不可視の群島

第五章 『熱帯』の誕生

後記

からなっています。

 

冒頭 スランプ中の著者・森見登美彦さんの様子が語られ、出版社の人に「沈黙の読書会」に行ってみないか、と誘われ その読書会から ストーリーが展開していくのです。

読書会に参加していた 鉄道模型のお店を手伝う白石さんと同じビルの会社に勤務する 顧客の池内さん。

謎のマダム・千夜さん、千夜さんを追いかけて京都へ謎解きに行く池内氏…そのあたりは面白く どんどん読めましたが、

 

第四章 不可視の群島は ファンタジーすぎて 魔王やシンドバットは現れるし しゃべる猿に 千と千尋の神隠しやラピュタを彷彿させるような場面もあるし はては中島敦の山月記のように人が虎になったり、と場面転換が早すぎて その分人物や 登場人物の心理描写は薄くて。

今どういう状況かを把握するだけでいっぱいいっぱいでした。

はてしない物語

ラスト近くでそういうことか、と気づくのが、 「マトリョーシカ」「入れ子構造」とよばれていた手法。

同じ状況がまた現れて そうそう ネバーエンディングストーリーです。

また 謎を解きたいと思った誰かが 門をくぐるとこの不思議な世界に飲み込まれて 冒険の旅が始まるという。

最初はミステリーぽく引き込まれたけど 不可視の群島で あっけに取られて 最後に めぐりめぐってまた始まる、ということが 明かされる、というより なるほど、と納得させられました。

 

で。どこか感動ポイントありましたっけ?

この作品、お好きな方もいらっしゃるんでしょうけど 私は…イマイチでした。