2022年2月26日の新聞広告に出ていて…
「代償」「悪寒」の著者が贈る圧巻の警察小説
事件解決までの濃密な38時間
読書メーターからの引用で「ラスト1ページで鳥肌がたった」
大反響 10万部突破!
読んでみたい!と思わされるフレーズが並んでいました。
北陸地方にある村の駐在所から警察官が失踪した。県警本部から派遣された調査官・樋口透吾は、後任の駐在・島崎巡査部長と共に失踪の謎を追う。そして、過去に発生した事件や事故が、村に存在する大型複合福祉医療施設に関係していると気づいた。「施設」に収容されている人々は、認知症の老人、問題を抱える小中学生、更生が必要な若者たちのみ。経営母体は世界的巨大資本の製薬会社。それに群がる日本政官財の黒い欲望と闇。そして子どもたちの間で囁かれる「アル=ゴル神」。この村で、一体何が起きようとしているのか。二人の捜査が難航する中、さらに凄惨で不可解な殺人事件が発生した。連鎖しながら加速する事態は、樋口自身の過去にも繋がっていく―。慟哭の警察小説。
「BOOK」データベースより引用
⚠ネタバレあります、ご注意ください
新聞広告に「あの伊岡さんだから覚悟して読んだ」…
そう、伊岡瞬さんの作品には、緊張感や嫌な気分にさせる登場人物が出てきて「イヤミス」ですが…
この作品では、最終ページで確かな、そして明るい未来への予感を感じられて、ホッと温かい気持ちになりました。
こうなるであろうことは、途中から予想がつきましたけども^^
17年前に起きた一つの事件、被害者は刑事とその家族。
構成は、このプロローグと、始動、主人公に与えられた2日間という時間の、1日目、2日目、後日の5部構成。
とある機関から、北陸へ調査に派遣された男。
元警官。
無口で精悍、男前。サングラスに麻のスーツ、という出で立ち。
駐在所への現れ方が…女性に真っ赤な外車で送らせて登場、と映画のワンシーンのよう。
彼の立ち寄り先の女性は、みんな一目惚れしてしまうが、終始クールに決めているのがニクいです。
彼の任務は、1ヶ月前に失踪した北陸・岩森村の駐在所の警官の調査と、その村にある施設の関係を調査すること、それも2日以内に結果を出せ、という命を受けています。
1日目、2日目、○時○分、と見出しがついて時系列に整理されているのでわかりやすいです。
表紙を開けると、登場人物の名前がズラリ、3ページを要しています。
複雑なのかな?と思ったけれど、読み進めば、わりとすんなり入ってきます。
施設の少年たちの年齢と名前があったのはわかりやすかったです。
いろんな視点から描かれていて、調査員の樋口(主人公)と、ともに行動する駐在所のちょっと冴えない巡査部長の島崎を軸に、
中国資本で建てられた複合福祉施設、岩森村には場違いな巨大ショッピングモール、それらに絡む利権、田舎ならではの利権を独り占めする土地の有力者たち、反対勢力の日本の製薬会社連…
家庭内暴力、ネグレクト、両親の離婚、死亡などで居場所のなくなった子どもたち、
過去に凶悪犯罪に手を染めた青年、アルツハイマーの老人。
子供から老人まで、ひとつの敷地内に集めて…薬を飲ませ、非合法の臨床試験していました。
調査官・樋口の視点、派出所の島崎の視点、児童施設「にじ」の子どもたちのそれぞれの視点、施設の職員・桑野千晶の思い…多面的に語られて、物語が編まれていくプロセスが読まされて、すごく面白いです。
これは、何度も読むと新たな発見がありそうなストーリー
ラストは、17年前の事件とつながって、胸熱。
現代の抱える問題を織り交ぜて社会派テイスト満載、読まされました!
読み応えありました!!
タイトルの冷たい「檻」、なるほどそういうことか、と、納得。
施設は温かいところでなく実験場だったのですね。
カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」のような薄気味の悪さを感じました。
「わたしを離さないで」は、ドラマ化されていて興味をもったので読み始めたのですが、苦しくてギブアップしたのでブックレビューは書いていません。
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